外壁や屋根をメンテナンスしなければいけない本当の理由
2023年4月9日
新築からたった10年で外壁や屋根をメンテナンスしなければならない本当の理由を知っている方は意外と少ないですよね?
外壁や屋根の塗装は、建物をきれいにする為と建物の保護の為に行います。
塗装は、外壁・屋根に塗料でコーティングをして外壁材や屋根材の防水をすることによって、表面の劣化を防ぐことが目的です。
また塗装工事と同時に、サイディングやALCの目地や窓のサッシ周りのシーリングの打ち直し、打ち増し、ひび割れの補修、ベランダ等の防水の補修といった雨漏りを防止するためのメンテナンスも行う必要があります。
外壁屋根の塗装となると大きな金額になるので、予算的にも気持ち的にも後回しにしたくなってしまいますよね。
しかし、雨漏りは住宅にとって大敵です。
実は、見てわかるような天井の雨染みや、ポタポタと水滴が落ちている音が聞こえてきた時には、壁内や木材がボロボロに腐っているということも少なくありません。
家を長持ちさせるためには、雨が侵入する前に外壁や屋根の劣化状況に応じて、10年や15年を目安に必ず塗装やシーリング工事をする必要があります。
今回は、雨漏りが住宅に与える影響や外壁屋根の塗装やシーリングが本当に必要な理由をお伝えしていきたいと思います。
雨漏りが住宅に与える悪影響
雨漏りが家に与える悪影響は、カビが生えるとか、木材などを腐らせてしまうというのは想像がつくと思います。
しかし、雨水が入ってきたからと言ってすぐに腐ってしまうわけではありません。
建物の中に水が入る状態が長期間続いて、乾燥しない状態が続くと木材が水分を含んでいきます。
木材は含水率が28%を超えると木材腐朽菌という菌が繁殖して木材の栄養分を分解して食べてしまいます。
養分を食べられた木材はどうなるかというと、スカスカになってしまうイメージです。
強度がなくなってしまうので地震が来た時に倒壊してしまう原因になります。
そのような状態にならないうちに水の侵入を止めて乾燥させなければなりません。
また、雨漏りによって壁内の湿度が上がってくると、断熱材も徐々に水分を含んでいきます。
湿気を吸ってしまったグラスウールなどの断熱材は断熱機能がなくなりカビの温床となります。
壁体内の断熱材で繁殖したカビは室内に入り込んで、クロスが変色して剥がれたり、シックハウス症候群を引き起こす原因になります。
雨漏りは、ただ家の中が濡れるだけではなく、家の耐震性や人体にも悪い影響を及ぼすため、雨漏りを発生させないように定期的に家のメンテナンスをすることが大切です。
開いた目地から雨水は侵入する
サイディングの目地が開いている状態では、その隙間から雨水は外壁の内側に入っていきます。
中には防水シートが貼ってありますので、正しく防水シートが貼ってあれば、それ以上はすぐに中に水が入っていくことはありません。
しかし、濡れている状態が長期間続くと状況は変わります。
そして、必ずしも正しい施工がしてあるとは限りません。
防水シートは完ぺきではない
防水シートの効果は一時的なものです。
写真を見てわかるように、侵入した水分は壁の中を傷めてしまいます。
全国雨漏検査協会が発表した、雨漏検査白書によると雨漏りが多発する箇所は「外壁サイディング」が1番多いという結果で、次いで「サッシ、サッシまわり」「バルコニー、ベランダ」という順番でした。
その原因は経年劣化や施工不良です。
写真の様な状態にならない為に、シーリングが劣化して目地が開いてしまったら出来るだけ早くシーリング工事をして雨が入らないようにすることが必要です。
注意しなければならないのは、外壁を塗装しただけでは目地が開いた状態のシーリングを防水した事にはならないということです。
外壁塗装はあくまでも外壁材の表面を防水する為の工事です。
シーリングが傷んでいる場合は、全て撤去して打ち替えをする必要があります。
傷んだところだけ切り取ってそこだけ直すということはしません。
同じタイミングで施工されているシーリングですから、まだ傷んでいない部分があったとしても近い将来その部分も同じ様に目地が開いてしまう可能性が非常に高い為です。
シーリング工事には足場が必要になる為、ほとんどの場合シーリング工事を外壁や屋根の塗装と同時に行いますが、シーリング工事の方法を確認する事を見落としがちになります。
外壁がサイディングの方は、シーリング工事の内容をしっかりと確認しましょう。
劣化した外壁材や屋根材が雨水を吸収する
外壁材や屋根材の表面の塗装が劣化すると、雨の日は水分を吸い込み、晴れると乾きを繰り返すことで徐々に劣化してひび割れができたり、反り返ってしまいます。
新築時や塗装したばかりの外壁や屋根は、表面の防水効果がしっかりあるので雨水を弾いて、雨粒が滑り落ちる状態です。
たとえるなら車のボディのような状態です。
しかし経年劣化で、塗装の防水効果がなくなってくると雨染みができて、水分を吸っている部分の色が周りよりも濃くなる為水分を吸っているのがわかります。
特に北側や、隣の家の間は乾燥しにくい為、コケやカビが生えやすくなります。
ためしに外壁に水をかけてみてください。
スッと染み込む状態だと塗装が必要なサインです。
特に注意して欲しい外壁材はALCです。
ALC 軽量気泡コンクリート
ALCは写真の様に気泡がたくさん入っている外壁材の為、水を吸い込みやすいのが特徴です。
断熱性や遮音性、耐火性に優れた外壁材ですが表面から水分を吸いやすい性質があるので、他の外壁材と比べると塗装は早めにやった方がいいといえます。
水分が、芯の鉄筋・金網まで届いてしまうと錆びが膨張して内側から圧が掛かり割れてしまします。
割れてしまったALC
この様になる前に、細かいひび割れが発生するので割れてしまわないうちに塗装が必要です。
次に、サイディングの場合は表面が劣化するとはがれやすくなります。
外壁材の剥がれは塗装後に悪影響を及ぼす可能性があります。
表面がひどく剥がれている状態になった外壁の場合、塗装をしてもまたすぐに同じように剥がれてくることが予想されます。
その場合は、サイディングを張替えたり、板金巻きをしなくてならないので、余計に補修費用が発生してしまいます。
メンテナンス費用を抑えるためにも、傷みを長期間放置せずに早めに外壁や屋根の塗装をして長持ちさせましょう。
まとめ
外壁や屋根の塗装は家に水を入れない為の工事です。
単に塗料を塗る工事をしているだけではなく、雨が建物の内部に侵入してこないようにシーリング工事や漆喰工事、防水に関係する箇所の補修を行う工事です。
長く安心して暮らすには、定期的に状況を把握するための点検を行い、早めの修繕が家を長持ちさせることが大切です。